マニラのeそよ風

 トップ  >  「マニラのeそよ風」一覧

第255号 2004/10/08 聖ブリジッタの祝日

OUR LADY OF THE ANGELS CHURCH, SSPX: Los Angeles
聖ピオ十世会・米国(ロスアンゼルス) /OUR LADY OF THE ANGELS CHURCH

アヴェ・マリア!

 兄弟姉妹の皆様、お元気ですか。  ラテン・ミサ誌(Latin Mass Magazine)2004年秋号に掲載予定の、ラテン・ミサ誌とフレー司教(聖ピオ十世会総長)とのインタビューの後編をお知らせします。(日本語サイト リンク 前編 第254号)


罫線


ラテン・ミサ誌とフレー司教(聖ピオ十世会総長)
とのインタビュー (後編)

ラテン・ミサ誌
「もしも、ローマの位階階級に一言、言うことが出来るとしたら、何ということでしょうか?教会の危機を解消させるために、修正される必要のある最も批判的な点とは何なのでしょうか?」

フレー司教
「まず何よりも、カトリック教会は本質的に超自然のものであり、人間的なものではない、と言うことです。このことは、たとえ人間的な要素が教会において重要な位置を占めるけれども、[本質的には超自然のもの、ということ]です。そこで、この超自然的な観点がもう一度確立されなければなりません。それは、信仰を現実の状況に適応させることです。それは、巨大な諸問題を解決するのに、天主の助けを期待するということです。この超自然のレベルにおいては、ファチマで聖母マリアが要求されたロシアの奉献は極めて重要なこととなるでしょう。聖なる典礼、特にミサ聖祭に関する関心も、同じレベルに置かれなければなりません。ミサ聖祭は私たちの宗教の心臓部に当たり、教会と霊魂たちの超自然の命の源です。カトリック信仰の保存と伝達とは、主要な重要さを占めています。この点、つまりカトリック信仰の保存と伝達こそが、実際の次元において、最も高い優先順位を持っています。それは将来の司祭らの養成、神学校、大学、公教要理、説教を真剣に更新することを意味します。もちろん、実際の観点から見て、教会の位階の全ての階級において、それに適する人材の選択が根本的なこととなります。

ラテン・ミサ誌
「バチカンには、進歩主義者たちの暴力的な敵対に対して、教会の重大な危機を乗り切るために真の努力をする人々がいるとあなたは本当に思っていますか?」

フレー司教
「はい。心からそう信じています。私は闘っている人々がいると、全体的潰滅のうち何かを救おうと努力し苦しんでいる人々がいると考えます。ところが、そのような人々は、聖伝の擁護のために持つ勇気よりも、進歩主義者を恐れるほうがもっと程度が激しいように思えます。

しかし、ことのもっと根本を見ると、この危機の原因は第2バチカン公会議と公会議後の改革である私たちは確信しています。しかしそのような私たちの確信に、バチカンにいる人々が必ずしも同意しているわけではないように思われます。私たちにとって明瞭なことは、極めて侮辱的で罵るような発言であるとまだ考えられています。例を挙げてみると、バチカンで私たちを取り扱い、私たちが同意にサインをすることを願っているような聖職者たちは、私たちに対して善意で満ちあふれていることは疑いの余地がありません。しかし、このような方々が私たちに要求することは、『新しいミサが有効である、第2バチカン公会議がカトリック教会の本当の公会議である、・・・など』という宣言です。これらの宣言はそれ自体としては、間違いではありません。しかしこの宣言は恐ろしく誤解を招きやすいもの、人を欺きやすいものです。それは丁度、私たちに、一滴の猛毒が入っているスープが差し出されているかのようです。私たちはこれを飲むのを拒んでいます。ローマは私たちにこう言って飲め飲めと言います。

『仲直りをしよう。しかし、あなたたちは少なくともこれがスープであると認めなければならないよ。』

私たちはこう答えています。

『私たちはこれがスープであると知っています。しかし、私たちにとって大切なことは、これが毒入りスープである、と言うことです。』

もしも私たちがこれをスープであると認めたならば、次の日には、私たちはそれを飲まなければならないという結論を要求されるでしょう。まさしく、私たちがしたくないのはそのことです。私たちは、人を欺く妥協を望みません。進歩主義者たちが私たちを何と考えるかは、大したことではありません。私たちは天主をお喜ばせし、私たちの受けた洗礼の信仰に忠実でありたいのです。私たちは教会に従順であることを望みます。しかし私たちを、地獄ではなく天国に導く本当の従順をしたいのです。

ラテン・ミサ誌
「司教様、あなたは世界中を良く旅行しますから、教会の状況全体を見ることができるという恵まれた立場にいます。聖伝にむかう運動が見えますか?もしそうならば、どの国においてでしょうか?」

フレー司教
「ここ数年は、聖伝に向かってますます増加する運動が劇的に展開していました。特に若い司祭や神学生たちに関わるこの動きの重要さに、私たち自身でさえ驚いています。数年来、多くの国々の多くの司祭らが私たちに接近し、古いミサをどうやって捧げるのか教えて欲しいと言ってきました。教区長の許しを得てそうするものもおれば、許し無しにそうする司祭もいました。最も新しいところでは、数名の司教らが賢明にそしてカトリック教会の聖伝の方向へと足取りを進めています。私はこの立ち戻りの運動を世界中どこででも見いだしています。おそらく、幾つかの国では別の国よりもその傾向がもっと激しいのでしょうが、その一般的な法則というものは言うことが出来ません。アメリカ合衆国の聖伝の状況については、[とても良いと]言及しておく価値があります。イタリアでは近い将来大きな驚き [=聖伝への立ち戻りの実現] があるかもしれません。アフリカ諸国でも同様で、聖伝を大きく待ち望んでいます。

ラテン・ミサ誌
「来年行われる予定の御聖体に関する司教のシノドスについてどう思いますか?」

フレー司教
「良い手段を執る限り、そして平信徒と司祭とがもう一度、教会の中心でありまた全てのカトリック信者の生活の中心であるべきものに方向付けられるならば、このシノドスはカトリック教会の本当の刷新の出発点となりうるでしょう。しかし、もう一度言いますが、このことは恐るべきそして劇的な霊的な戦い無しには可能ではないと思います。死の勢力は目の前にあります。私たちは今、黙示録的な戦いの時代に生きていると、私は言うことを躊躇しません。ですから、祈りましょう。たくさん祈りましょう。

ラテン・ミサ誌
「メル・ギブソンの映画『パッション』と、その映画が霊魂に訴えかける力についてどう思いますか?」

フレー司教
「私たちはおそらく、カトリック教会内でこれ程、目に見えるほどの矛盾を見たことがなかったと思います。特に司教たちの間でメル・ギブソンの映画に賛成するか反対するかのコメントについての矛盾です。この深い対立は、意見の違いと言うだけではありません。これは映画とは別のもっと重要なことに関して、彼らが何を心に抱いているかと言うことを明らかにしています。そもそも映画とは、それ自体では、中立的なものです。カトリック信者として私たちは映画をその実りによって判断します。全く疑いも無く、現代世界の現状と教会の現状において、この映画は、最も強力な使徒職の手段の1つとして考えられるべきです。しかし、これは映画にすぎないので、その成果は一時的で長続きしないでしょう。この機会をつかんで霊魂をもっと深くもっと持続する霊的状態に導くのが司祭の務めです。つまり、公教要理、秘跡、教会が霊魂に成聖の状態を保たせるために常に使ってきた手段を使って、です。この映画は、回心の美しい手段であり、この哀れな世界に真理を思い起こさせようという天主の憐れみの大きな現れです。つまりそこでは天主が存在すること、罪が存在すること、死と地獄により、罪が罰せられること、贖い主が存在すること、贖いのいけにえが私たちを救うこと、この贖いの事業に被造物たちの協力、特に聖母マリアの協力が存在すること、の真理が。この映画の幾つかのシーンの暴力は、ショックを与えてしまうかもしれません。しかし現代人の心にこれらの真理が染み通るためには、このようなショックが必要なのではないでしょうか。私はメル・ギブソンに、彼の傑作とその勇気に対する賛辞を述べたいと思います。」

ラテン・ミサ誌
「あなたの神学校の状況はいかがでしょうか? 司祭叙階に関して特に教えて下さい。」

フレー司教
「この質問については、もう一つ別のインタビューや講話をすることが出来るでしょう。私たちの神学校は6校ありますが、オーストラリアの神学校は来年、その最初の司祭叙階がある予定です。[それまではオーストラリアの神学生たちはそこで3年の神学校生活の後、アメリカやスイスに編入して残る3年の勉強をしていましたが、来年、初めて6年間の全過程をオーストラリアの神学校で教育を受けた神学生らが誕生する予定です。] これは聖ピオ十世会が働いているミッションの国々にとって喜びのしるしです。[何故なら、オーストラリアの神学校には、様々なミッションの国々の神学生たちが勉強しているからです。]今年と来年とでは新司祭の数はむしろ少ないと言わなければなりません。私たちは約20名の新司祭を得るだけでしょう。しかしこれは一時的なことにすぎず、新しい神学生の数はかなりしっかりとしています。毎年、私たちには50名から60名の新しい召命が神学校に入学します。確かに私たちにはもっと多くの司祭が必要です。世界中のあちこちから私たちに助けを求める全ての信者たちの必要に、かろうじて答えているところです。もしも今、私たちに更に150名の司祭がいたとしたら、私たちは直ぐに彼らに仕事と住むところを与えていたことでしょう。」 (インタビューの終わり)


以上のインタビューの原文は以下をご覧下さい。
http://www.dici.org/actualite_read.php?id=407&loc=US
http://www.dici.org/actualite_read.php?id=799&loc=FR
(訳者:トマス小野田圭志神父)


罫線


 天主様の祝福が豊かにありますように!

トマス小野田圭志 (聖ピオ十世会司祭)